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ほそい道:贅沢貧乏『ハワイユー』

贅沢貧乏『ハワイユー』は西大島のとある物件で 6月 20日まで、およそ週 3日のペースで上演中。3作品を上演した「家プロジェクト(うちプロジェクト)」を後継する「家プロジェクト アパート編」の 1作目にあたる。「家プロジェクト」で一軒家を借り切ったの…

秘密結社の遍在:本牧アートプロジェクト2015 石神夏希『ギブ・ミー・チョコレート!』

『ギブ・ミー・チョコレート!』は 2015年12月12日(土)・13日(日)、本牧アートプロジェクト2015のプログラムとして上演された。指定された人物に会うたび手渡される秘密の「指示書」を頼りに、本牧各所を参加者が伝ってめぐる公演である。 参加者はまず…

揺れる針先:BricolaQ『演劇クエスト・本牧ブルース編』

上等なコンパスの盤面は透明なダンパオイルで満たされていている。粘性の高いこのオイルは磁針の動きを妨げない、一方で、その位置が定まるときに起こるぶれを小さく抑える役割をする。それは登山やオリエンテーリング、それらに関わる簡単な測量に際して、…

震えをおこす/呪いとグルーヴ:BricolaQ『演劇クエスト・京急文月編』

大谷能生は「それまで無関係だと思っていた過去が突然のようにつなぎ合わされ、一つの現在となって鳴り響くこと。現実に流れる時間のなかで、複数のものが一つになり、一つのものが複数に分岐してゆく(中略)ような振動状態」を「グルーヴィー」であるとし…

気配の所在:贅沢貧乏 家プロジェクト『タイセキ』

贅沢貧乏 家プロジェクト『タイセキ』は 7月 7日(月)から 27日(土)まで、週一日の休演日を置きながらほぼ毎日上演中。場所は西大島の一軒家。詳細な位置は公開されていない。西大島は錦糸町や亀戸の近く、新宿からは都営新宿線で 20分とすこしかかる。都営線…

出会いとシーケンス:池田拓馬× 居間theater 『居間 theaterと巡る、池田拓馬の世界』

パフォーマンスギャラリーツアー『居間 theaterと巡る、池田拓馬の世界』は 7月4日(金)に 3回、5日に 2回行われた。6月14日(土)から 7月6日(日)にかけて谷中 HAGISOで開催された池田拓馬の展示「主観的な経験にもとづく独特の質感/解体」のギャラリーツアー…

視線の先:マープとジプシー『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------』

この次にどこを見ているのだろう、と終演時に考えたことを覚えている。舞台はきれいで、どこから写真に撮っても絵になりそうだった。二度目にはぜひ席を変えて観たいと思った。 マープとジプシー『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------』…

螺旋を切りとる:岸井大輔『始末をかく』

すこし時間があったので横浜美術館の木版画を見るつもりでみなとみらいに来た、ところで、今日それがしたいわけではなかったと思いなおして伊勢佐木町に抜けようとしたのを、見当をちがえて新高島へ出てしまい、引き返してランドマークタワーから桜木町へ、…

リスの足どり:にれゆり『新座キャンパスで、かもめ。』

にれゆり『新座キャンパスで、かもめ。』は 3月1日(土)・2日(日)に各日二回ずつ上演された。2日に上演された二回ともを観ている。人が少ない日曜日のキャンパスの正門を通るときに守衛と目があって、にこやかに歩行者通用口へ案内されたけれど、すこしたじろ…

可能性とシーケンス:森孝介『「瞬か」とは、なんだったのか?』

「ゴンゾ的な動きがそこで可能なのか」という意味のことを、映像のなかで contact Gonzoの塚原悠也が言った。 スガダイロー五夜公演『瞬か』に関する映画『「瞬か」とは、なんだったのか?』は一月に一日だけ上映されたあと、この二月末に一週間再上映された…

池袋アンダーグラウンド/オーバーグラウンドツアー

池袋アンダーグラウンド/オーバーグラウンドツアーを実施します。池袋の地下と屋上を巡るツアーです。ときどき、地上も歩こうかなと思っています。 池袋で待ちあわせをすることはありますか。どの辺りですることが多いでしょうか。僕は池袋で待ちあわせると…

光よりも速い言葉で:スガダイロー五夜公演『瞬か』オープニングナイト

目が覚めるような時間だった。とりわけスガダイローと岩渕貞太が対峙した時間は素晴らしかった。岩渕のことは『living』以来できるだけ見るようにしていて、といって『UNTITLED with animation』東京デスロック『モラトリアム』しか見られてはいないのだが、…

交換不可能性と迷子: 子供鉅人『モータプール』

子供鉅人を見るのは二回目である。HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMUNE 2012で『Where is crocodile?』を見たのだった。『バーニングスキン』とか『幕末スープレックス』とか、子供鉅人を見る機会は何度かあったのだが、なかなかタイミングが合わずに今回まで見…

新宿アンダーグラウンドツアー (3かい目)

3かい目となる新宿アンダーグラウンドツアーを実施します。 新宿地下道はいま、南は新宿タカシマヤタイムズスクエア、北は新宿プリンスホテル(西武新宿駅)、東はBYGS新宿ビル(説明しづらい)、西は新宿西口公園まで、南北約1.2km、東西約1.7kmの範囲をカバー…

カメラ・オブスクラの散在とその敷衍: 東京デスロック『東京ノート』

東京デスロック『東京ノート』は演劇作品としては特異な作品であったと同時に、三部作『モラトリアム』『リハビリテーション』『カウンセリング』を正当に引き継いだ作品であったように感じる。座席は一切なく、真白いファーを敷きつめただけの camera: 小部…

3日間の距離感: PortB『光のないII』

PortBのツアー型演劇を体験するのは、今回が初めてである。 というのは、初めて PortBを体験した『完全避難マニュアル 東京版』は山手線各駅を巡るものであり、翌年の『国民投票プロジェクト』は都内を移動するキャラバンカーを追いかけて巡るもので、ひとつ…

頒布物など

■fuzzy dialogue頒布物『一晩と三秒まえのこと』(掌編集) 学生時代に書きました。4編収録。 3つは学生もの。1つは暗いの。 販売価格:200円 『夜は三秒』(短編) 学生時代に書き残したテーマを書きました。『一晩と三秒まえのこと』収録「吹けば飛ぶよな…

新宿アンダーグラウンドツアー

新宿アンダーグラウンドツアーを実施します。 新宿の地下道を延々と歩いて巡るツアーです。 新宿地下道はいま、南は新宿タカシマヤタイムズスクエア、北は新宿プリンスホテル(西武新宿駅)、東はBYGS新宿ビル(説明しづらい)、西は新宿西口公園まで、南北約1.2…

東京は概念化する

※学生時代に書いたものを転載。初出 2007/11/28 東京ビッグサイトをご存じだろうか。 ピラミッドを逆さにしたような構造を四本の四角い足で支えた構造物として知られているが、じつはそれは会議棟であって、それを愛称とする国際展示場の本体が平べったいだ…

8/12-14 楢葉工業団地交差点へ (4)

3日目。かなり早起きして国道6号を北上します。というつもりで、午前中はほとんどずっといわき市にいました。いわき市というのは市なのかどうか疑わしいほど広い市でした。 いわき市内。手前の歩行者道は大丈夫でした。 歩行者道を抜けた先。 ここは河口です…

8/12-14 楢葉工業団地交差点へ (3)

2日目。まず偕楽園に向かいます。 駐車場側から入場するルートの跨線歩道橋エレベーター。止まってらっしゃいます。 入場直後。 ぬけがら。 盛りは梅の頃ですが、夏も涼しげです。 しかし梅園以外の範囲では復旧中のところが多いのが現状です。 水戸芸術館、…

8/12-14 楢葉工業団地交差点へ (2)

お題目を並べましたが基本的には走っているだけだし、撮っているだけです。この日は水戸泊。 出発。10じ過ぎ。 から 10分で旅程とは関係なく ipodを割りました。 具体的には荷物の結わえ具合が気になったので止まって前屈みになったら胸ポケットから落としま…

8/12-14 楢葉工業団地交差点へ (1)

実のところ、地震も放射能(僕は原発関連の記事において放射線や放射性物質に関わることが一般に「放射能」と呼ばれることについてあまり快く思っていませんでしたし今も思っていません、というのは、単純にそれが正確な表現ではないからですが、ともあれ、…

絶対に開かない箱: 中村航『100回泣くこと』 / ラフォーレミュージアム原宿「ヘンリー・ダーガー展」

はじめて中村航の本を手に取ったのがいつのことだかよく覚えていないけれど、いま、僕の手元には 2004年 6月 10日発行(だからどうということはないけれど、これは初版にあたる)の『ぐるぐるまわるすべり台』がある。 ということは、少なくとも僕がこの本を…

『完全避難マニュアル 東京版』、そこから帰納的に導かれた「避難」的なるものについて

自分のツイートログを見ながら、『完全避難マニュアル』という作品についての話をしたいと思う。 僕がはじめて『完全避難マニュアル』(『マニュアル』、以下)に触れたのは10月30日のホームページ閲覧からで、実際に参加していたのは11月3日から11月28日ま…